■概要
天童市美術館は、平成2年10月4日、県内初めての公立美術館として開館しました。建物は天童市立図書館に隣接し、美術館建設と同時に整備された周辺空間と調和するように設計されました。この一帯は、市が都市計画土地区画整理事業の中で公共施設を利用しやすいように用地を確保していたところで、市立図書館、市民文化会館があり、芸術文化ゾーンを形成しています。その中で、地域に密着した美術館として、展示事業に、そして教育普及事業にと特色ある事業を企画し活動しています。
館内はくつろいだ雰囲気で鑑賞できるよう工夫されています。何度でも訪れたくなる美術館づくりを目指し、国内外の優れた美術作品を公開する企画展示と、今野忠一、熊谷守一(村山祐太郎コレクション)、豊田豊といった作家の作品収集、展示を中心軸に据え活動を始めました。その後、平成5年に山形県とゆかりのある企業、吉野石膏株式会社から寄託を受けた上村松園、横山大観、東山魁夷をはじめとする近代日本絵画の名品をコレクションに加え、より広がりのある美術品を所蔵することになりました。
そして、平成13年3月には、県内の公立施設としては2館目の博物館法に基づく博物館相当施設として指定されました。
開館から20年以上経過した現在、体験美術館、絵本原画展、市民作品展、吉野石膏コレクション展、天童が生んだ美術家シリーズ展などの美術館事業も、市民の皆様をはじめご来館の皆様に定着し、ご好評を博しております。
これからも、多くの皆様に楽しんでいただける企画を用意して、事業展開していきたいと考えております。
■基本運営方針
1 基本方針
天童市の芸術文化の拠点として、市民誰もが身近に芸術に触れることができ、未来を担う青少年の豊かな感性や創造力を育むことができる施設を目指します。
市街地に位置し、周辺には文化施設や天童温泉が近接するエリアにある立地条件を生かしながら、市民のみならず県内外から訪れる方からも親しまれる魅力ある優れた美術鑑賞の場を提供します。
2 活動方針
(1) 展示
国内外の優れた美術作品を公開する企画展と、今野忠一、熊谷守一(村山祐太郎コレクション)、豊田豊をはじめとする収蔵品の展示を行う。
(2) 収集及び調査研究
「天童市美術館美術品等の収集等に関する方針」に基づき、収集及び調査研究を行う。
(3) 保存
展示室や収蔵庫の温湿度など適切な管理に努める。また、所蔵する美術作品や資料について、継続的な情報収集・整理に努め、収蔵作品等のデータベースの適正管理及び検索利便性の向上を図る。
(4) 教育普及
美術に対する関心や教養を高めるため、質の高い美術品を鑑賞する機会の充実を図る。また、美術鑑賞は、探究型学習の面からも効果があることから、児童・生徒の受け入れや教員の研修、大学生の実習など要請に合わせて学校教育との積極的な連携を図る。
(5) 情報発信
ホームページやSNS等を活用するとともに、マスメディアとの連携を図りながら、適時適切な情報発信に努める。
(6) 環境・施設の整備
高齢者、子ども連れ、障がい者など多様な来館者に配慮した環境整備に努めるとともに、来館者がくつろげるラウンジの提供、公衆無線LAN及びキャッシュレス決済などデジタル化への対応を進める。
■天童市美術館美術品等の収集等に関する方針
天童市美術館における美術品等の収集、調査研究、保存に関する方針について、次のように定める。
1 美術品等の収集は、購入、寄贈及び寄託により行う。
2 次に掲げる資料を収集し、及び調査研究を行う。
(1) 天童市出身美術家、天童市在住美術家、天童市周辺で活躍した、又は活躍中の美術家に関するもの。
(2) 今野忠一及びその周辺美術家に関するもの。
(3) 熊谷守一及びその周辺美術家に関するもの。
(4) 天童広重として天童市にゆかりのある歌川広重に関するもの。
(5) その他、市民の美術に対する関心や教養を高め、質の高い美術品を鑑賞する機会の充実を図るため、国内外の優れた美術家及び作品に関するもの。
3 美術品等を適切に保存及び整理保管するため、保存修復学会及び修復師の資料や意見を収集するとともに、他施設の学芸員と情報交換を行う。

